雄阿寒岳・雌阿寒岳

夜の森、木々のしなる音が怖い。

針葉樹に積もる雪を見たのはいつぶりだろうか。

朝焼け、ダケカンバ帯はハードパック。台地直下で10m滑落した。

台地はモシャモシャ、顔が冷たい。

降りることを考えると憂鬱になる。

パンケトー

振り返れば、次に登る雌阿寒岳。ガスの中。

藪沢を滑走して、車まで1キロ歩く。

朝飯。300mlボトルなんて誰が買うんだよと、ずっと思ってました。

雌阿寒岳。こちらも風が強い。

轟音。

山頂からは滑れない。

さっき登った雄阿寒岳。

釧路市民の記念に。こんな立派な標識あったっけ。

森の雪は良い。

野中温泉、今でも日帰り五百円。熱々の硫黄泉が染みる。

釧路市民として、地元の山で思い出作りがしたい。そうして思いついた山行、楽しくはない。
(まだしばらくは釧路市民の予定。山の近くに引っ越したい。)

前半戦、雄阿寒岳。半月に照らされた古いトレースをたどりながら登っていく。上空の風が強く、木々がミシミシしなる音が怖い。雪は少ない、倒木多くてヤンなっちゃう。ダケカンバ帯に出れば朝焼け。雪面ハードでクトーを着ければ良かったが、横着して10メートルほど滑落。右手でダケカンバをキャッチして事なきを得るが、左膝を負傷してイタイ。台地直下50mほど、大人しくシートラで攻略。山頂台地は風ビュンビュン。完全装備に身を固める。天気は良いが、顔に凍傷ができそう。振り返れば雌阿寒岳はガスの中。山頂からスキー、落とし穴と藪濃くて不快。沢の中をパウダー探してトラバースしていくと、森の雪は良かった。しかし雪が足りない、隠れた岩や倒木に足を取られ何度も転ぶ。適当なところでシール貼り直して朝の森をハイキング、鹿の群れが元気に走り回っていた。国道に出たら1キロお散歩して車着。

ハーフタイム、阿寒のセブンイレブンで補給。ちょっと遅い朝ごはん。ぶつけた膝の調子を確認したところ、とくに問題なさそうなので予定通り雌阿寒岳へ。車の中が寒い。

後半、雌阿寒岳。さすが百名山、登山者は途切れない。トレースばっちりだが、みな壺足。自分はスキーで、登山道に沿って行く。ハイマツ帯を抜けると雪が消えてスキーは無理。アルミアイゼンに履き替えるが、岩とこすれる悲鳴が聞こえた。9合目から風マシマシ。慣れないアイゼンワークで足が重い。快晴爆風の山頂に着けば、数時間前に登った雄阿寒岳がよく見える。写真撮って下山開始、8合目付近でスキーに履き替え、雪を繋ぎながらガンガン滑り降りた。森の雪は良い。森の雪は。

下山すれば、野中温泉直行。素晴らしい硫黄泉、身体中が臭い。

ちなみに今回の山行で「深田百名山in北海道のスキーによる登頂・滑走」のアチーブメントを獲得した。学生の頃、日本百名山を全てスキーで登頂・滑走したいと目標を立てていたが、その小目標を達成したことになる。今現在、百名山全山での登頂・滑走をしたいかと問われるとそんな気は全くないが、今日の山行は一つの思い出になった。楽しくはない。