黒岳 招き岩シュート (大雪山・層雲峡)
23-24、スノーシーズン開幕。深夜0時、釧路から軽蔑の眼差しで見送られて層雲峡へ。グーグル先生は3時間と案内するが、雪道ゆっくり運転で3.5時間だった。気温はマイナス13度。暖房ガンガンで、ガソリン代が染みるぜ。シーズン・インは、やはり黒岳。”Full Climb Kurodake”、略して”F*CK”である。
ハイ・シーズンには及ばないが、シーズン初っ端から指先が痛い。先週息子からもらった風邪の治りかけなので、尚更辛い。あおっぱなを垂らしながら、ゲフンゲフンと、闇夜の層雲峡の岩壁を登っていく。積雪は4-50cmくらい、隠れた倒木や岩に注意だが、まぁまぁ快適に登っていける。台地を越えたあたりで、突然右前方から「ボフボフボフ」と恐怖の感情を逆撫でする不協和音が。ただのエゾライチョウだった、こわー。五合目、七合目をそそくさと登るとご来光。ピンクに染まる黒岳に悶絶しそうであった。朝焼けの時間帯が寒さの1番のピークで、悪寒が止まらず呼吸器不全でめちゃくちゃ辛かった。おまけに足先が冷えて痛い。自分を騙しながら、山頂へ。快晴微風で最高のコンディションだが、それでも身体が重い。自分の身体を支えているのは、ハヤる初滑りへの気持ちだけである。写真撮って、慣れないスキーの準備を終わらせたらイザ。そういえば、毎年のように黒岳で初滑りをやっている。記録を確認すると5年連続だ。やはり年々積雪が減っているようで、初滑りは遅くなっている傾向が見える。スキーシーズンは、こうやって短くなってしまうのだろうか。
ドキドキの初滑り、スピードに乗ればスキーの感覚を半年ぶりに思い出す。フレッシュ&クリーミー。ミルクたっぷりコーヒーのような雪質であった。招き岩にパウダーを撒き散らかして150mくらい。万感のシュプールが完成した。当然登り返してもう一本。風なくて静かな招き岩シュート。落ち着く時間である。2本目も同じラインで。もう楽しくなっちゃって、パウダーにジャンピングターンを刻み込む。本当に素晴らしい雪質であった。ちょうどロープウェイ組が登ってきて、顔馴染みのうっつ氏・雪E氏とご挨拶。最後にもう一本登り返そう。いつの間にか、シュートには歓喜の声が木魂し、パウダーはギタギタ。美味しい雪は、スノーヤーの笑顔に変換された。3本目も滑り終え、そのままガタガタのゲレンデを滑って下山。登山道スキーで太ももは限界を迎えた。日頃の運動不足が如実に現れている。
下山後、ブーツを脱ぐと両足の親指に違和感を覚える。軽い凍傷を患ったようだ。急いで黒岳の湯で治療。おそらく車の暖房が原因だろう。入山前にじんわり汗を掻いて、湿った靴下が山中で冷えていた様子。風呂上がりにグリルキャニオンでハンバーグカレーを食べて、再び釧路まで4時間のドライブ。侮蔑の眼差しで迎えられた。山スキーヤーは罪深い存在なのです。