大雪山トレイルジャーニー2019
ついに決戦の日。地元遠軽町の平山と天狗岳を結ぶ「大雪山トレイルジャーニー」がやってきた。
まずは前日のトークショー。遠軽町が出資しているらしく、ビール飲み放題。ほろ酔い気分でゲストランナーのトークショーに耳を傾ける。プロのランナーの食事事情が聞けて面白かった。
大会当日。もともと悪い予報だったのが嘘のように青空。そして高温注意報。まさしく激アツな大会だった。40Kの部はAM8時スタート。
本番中は写真なんか撮ってる暇ないので、スタートの写真と歩行区間の稜線の写真しかない。大会公式HPから写真を見れる(予定)ので、こちらも併せてご覧くだされ。登山口までのロード&林道区間はまだ気温も低くく、かなり調子よく飛ばしてトップ集団に食いつくことができた。
しかし、登山口からは日射が強くなって地獄。前半飛ばしすぎたせいで両足の内ももが悲鳴をあげる。ちょっとキツめのスパッツを穿いていたのが良くなくて、リンパ液が滞留している部位がただひたすらに痛い。騙し騙し登っていくも、リンパ液は徐々に足全体を固く強張らせて足を何度も攣った。前半の貯金はどんどん失われて、後続にどんどこ抜かれる。歯を食いしばってヒーヒー足を前に出して気絶しそうになる頃、気がつくと平山分岐のチェックポイントに到着した。
ここから二キロ弱の歩行区間。しかし足を攣る。広いスペースで横になって、足を高く上げてマッサージすると幾分マシになった。気休めかもしれないが、水と塩タブレットを口の中にブチ込む。まずい。そうしているうちに、10人以上の選手に抜かれていく。おまけに風が強くてまっすぐ歩くのもしんどい。「二度目はないな」と覚悟を決めた。この時は。
なんとか風の強い稜線を抜けて、第4エイドに向かって走る。下り基調なら足攣りを誤魔化しながら走ることができた。走りながら塩分補給。塩タブレットだけでは不十分で、前腕を舐めたら刺激的な塩味だった。下界は30度を超える猛暑日。常識的に考えたら山を走る気温じゃない。下山してからスマホに熱中症注意のアラートが届いた。
ラスト、有明山と天狗岳。登り区間は走るどころか歩くこともままならない。脱水と電解質不足のダブルパンチで頭がガンガン痛い。こまめに水を取っていたら、有明山の手前で水がほとんど残っていないことに気がついた。ラストスパートをかけるために、第4エイドをスルーしてしまったことを悔やむ。出来るだけ汗をかかないよう、体温を気にしながら最後の登りを攻略していく。この辺で、招待選手に抜かされた。序盤は抑え気味に走り、終盤に他の選手が疲れているところを刺すように抜いていく。「コースや天候に合わせたレース展開を考えているんだなぁ」と感心してしまう。
足りない水を上腕の塩っ気と、行動食の代謝水で補いつつ最後の下り900m。もう無我夢中で走る。頭の中が真っ白になるというのはこういうことでしょうか。太ももが悲鳴をあげるが、脳の指令系には届かない。無事スキー場を駆け下りてキャンプ場のゴールまで最後のラン。アスファルト走るのがこんなに辛いと思ったのは初めての経験だった。
会場のアナウンスの声が聞こえるとゴールが見えてきた。やっと解放される、こんな経験はもう2度とごめんだわ。と思いながらゴールラインを走ると、会場のギャラリーが拍手を送ってくれる。5歳くらいのかわいい男の子が手を伸ばしてきたのでハイタッチを交わす。なんだろうこの感覚。気がつくと疲労感はどこかに吹っ飛んで身体中が達成感に包まれる。スポーツってこんなに楽しいものなんだな。と感心してしまった。きっとまた来年挑戦することになるだろう。
ボロボロの身体を休ませながら表彰式を見学していると、70Kにエントリーしたイシさんもゴールした。
今回の「大雪山トレイルジャーニー2019」は、高気温と強風のハードなコンディションだった。でも、初めてのレース出場にしてはかなり充実した結果を得られたと感じた。自分に足りない課題を持って帰ることができただけでも満足である。何より、本番中は辛くても終わってみると全てが楽しかったと総括できる。
足攣りの対策を講じて、もう少し装備にお金をかけて、十分にトレーニングを積めば本気で入賞も可能かもしれない。そんなトレランデビューとなりました。