コイカクシュサツナイ岳
今シーズンの目標の一つで、ずっと行きたかった”コイカクシュサツナイ岳”に登ってきた。
真っ暗なトンネルを1時間歩き、真っ暗な沢の中をさらに歩いて取り付き尾根を目指す。沢の中には4~5箇所デブリが溜まっているところがあるので、雪崩リスクの小さい夜間に突破する作戦。2016年の台風の影響か沢幅が広く、沢の半分以上は伏流している。渡渉で困ることはなかったが、砂防ダムの巻が辛い。2月の連休で一番満月に近い日を選んだのだけれど、悲しいかな月が見える角度じゃないので沢の中は本当にダークだった。
夏尾根に取り付いてここからが本番だ。雪の少ないのは承知していたが、ウザい笹藪の急斜面に歩きにくい難雪の地獄尾根。日高の洗礼を受けた。両手両足ダブルウィペットを駆使して無理やり尾根を上げていくが、どんなに時間をかけてもちっとも標高が上がらない。本気で帰りたくなるが、ここで諦めるわけにはいかん。この日のために何度も通った羊蹄山のことを思い出せば、この程度の苦行は苦行ではない。
やっとの思いで稜線にたどり着く。雪が少なくて藪が気になるが、やはり日高は良い。
いつかは、あの白い頂へ。
コイカクシュサツナイ岳山頂に到着。ちょうど12時。入山から10時間だった。
滑ろうと思った沢に移動するも藪。確かここがあの雪崩の沢だったと思うが、なんとも言えねぇ無残な姿を晒していた。シャーないので木を掴みながら雪のついているところまでつぼ足で降りる。
そしてお楽しみのスキータイム。ここからは完全に未知の世界、何があるかわからない。最悪登り返して夏尾根から下山する覚悟も必要だった。でも、何歳になっても男の子は冒険が好きなんだからしょうがない。結果、急斜面とスラフをうまくかわして、でっかい氷のオブジェを鑑賞し、2回ほど穴に落ちかけたけど無事に滑りきった。よし、今日も生きて帰れる。
命知らずで無鉄砲なことをしているように感じる人もいるかもしれないが、入山前にはグーグルアースで入念に斜面を確認したり、崖が出たら50mザイルを使うつもりで準備していた。(こう見えて真面目にやっているので、安易な気持ちで真似することのないように付け加えておこう。)特に、前日に帯広入りして仮眠できたのは大きかった。大晦日に二ぺソツへ行った時も同じ作戦を使ったが、これはかなり有効だ。結果15時間30分と自分の最長行動時間を更新したが、まだ余力はあった。限界はもっと引き上げられる。
本日もインデアン。ハンバーグチーズ大盛り辛口。身体が冷えていたのであまり味わって食べられなかったが、インデアンがあればどんな辛い山も頑張れる。ありがとう、インデアン。ただし次は入口から遠い席に座ろう。あの席はお持ち帰り客が出入りするたびに冷たい風が入ってきて背中が寒くなる。
最高点の標高: 1718 m
最低点の標高: 448 m
総所要時間: 15:29:51